危険物シリーズ!身の回りにある子供にとって危険なもの
第1回:ジェルボール型洗剤を飲み込んだらどうなるの?
今回より、身の回りの意外な危険物についてご紹介いたします。子供たちがそういった危険物に遭遇してしまい、どんな被害を被ってしまうのか?ということを認識し、未然に危険を回避していただきたいと思います。
1回目は、ジェルボール型洗剤を紹介しようと思います。2014年4月より各メーカーがこぞって洗濯洗剤を始めとしてジェルボール型洗剤を販売し始めました。今や食器洗い洗浄機用のジェルボール型洗剤も販売され、多種多様となり、匂いなどもとても良い物が販売され見た目もお菓子と見間違ってしまうようなものも存在しております。一時期、テレビなどでもジェルボール型洗剤の誤飲が紹介されておりましたが、あまり大きな報道にはならず日本国内ではその危険性などについてはあまり知られておりません。しかし、実際には販売から10ヶ月ほどで152件の事故が消費者庁に報告されています。アメリカでは2年はやい2012年より同タイプの洗剤が販売され、急速に流通しておりますが、入院症例や死亡症例なども報告されており米国小児科学会は、乳幼児のいる家庭においては従来型の洗剤を使用するように注意喚起を行っています。
では、実際に乳児が飲み込んでしまったらどのような症状が出るのでしょうか?日本における症例報告では、誤飲直後より嘔吐が見られ、その後咳がひどくなり呼吸困難を引き起こしてしまい入院となり、専門病院に高次搬送されるという大変な事態になったというものもありました。これは、洗剤そのものが危険という意味ではなくこのジェルボール型というところに落とし穴があるようです。つまり、1回分の洗剤が小さなボールに集約されており、胃の中に入ると1分30秒ほどで周囲のフィルムは溶けてしまい洗剤が漏れ始めてしまいます。洗剤により粘膜の腫れが発生する他に、消化器症状を引き起こしてしまい嘔吐を繰り返し、その嘔吐物を誤飲してしまい肺炎を併発してしまうこともあり、、通常の洗濯洗剤であれば少々子供が舐めてしまっても問題ないのですが、このジェルボール型であるとお菓子のような見た目で香りもよいため、結果的に大量摂取したことになるため強い症状がでてしまうようです。
実際、アメリカでは1年間で1700件以上の事故データがあり、6歳未満がほとんどとなっていました。そのうち、3歳未満が89%となり1歳未満の子供も10%くらい存在するため、歩行前の乳児であっても事故を起こす可能性があることが知られています。アメリカの報告では死亡例以外にも人工呼吸管理を要した症例もあるとのことで、十分な注意が必要と考えられます。
もし、自宅で子供が被害にあった場合には・・・・
目に入った場合:10分以上流水で目を洗ってください。痛みや違和感が和らいでいるようであれば、そのまま様子を見てもらって大丈夫です。続くときには病院を受診しましょう。
丸々飲み込んでしまった場合:吐き出させることは危険ですので、飲み込んでしまった場合には水をしっかりと飲ませてください。牛乳を飲ませてくださいと書いてあるものもあるかと思いますが、牛乳である必要はありませんので、水でかまいません。もし、嘔吐、咳がでてしまうようであれば病院を受診しましょう。ジェルボール型洗剤の誤飲はまだまだ医療者も認識不足のことがあるので、様子を診るように言われることが多いと思いますが、嘔吐が繰り返しているとき、ゼーゼーしているとき、咳が目立っているときには入院が必要なこともありますので、ぜひ救急に強い病院の受診をおすすめします。